windows10にアップデートしてみました

ウェブ制作者視点のWin10、Trackpointキーボード動作など

windows10への無償アップデートが2016年7月29日に迫る中、決意してアップデートを実行してみました。
いつものウェブ系の記事とは異なりますが、ここではwindows10の使用感と、前後の比較を紹介します。

概要

無償アップデート概要
無償アップデート対象Windows7
Windows8
Windows8.1
無償アップデート期限2016年7月29日
無償アップデート期限後の料金(税別)Windows10 Home17,600円
Windows10 Pro25,800円
アップデートした端末
マシンVAIO TAP 21
OSWindows8.1 Pro
重要な周辺機器Thinkpad Bluetooth ワイヤレス・トラックポイント・キーボード

ウェブ制作者視点でのWindows10

Windows10からMicrosoft Edgeというブラウザが追加されており、デフォルトのブラウザという位置づけです。
Windows8.1以下には対応していないため、Edgeでの動作チェックを行うためにはアップデートが必須です。
無償アップデートにもかかわらず、Edgeのシェアは思うように伸びていないようで、ネット上では使いづらいという声が多く聞かれます。しかし、デフォルトブラウザということで、今後のシェアの続伸が考えられるため、ウェブ制作者としては無視できない存在です。

Windows10にはIE11が残っており、IE11ではIE10以下の旧ブラウザをシミュレーション可能なため、Windows10だけでEdge~IE系ブラウザの簡易テストが可能なのは大きな利点です。
Windows10のIE11とWindows8/8.1のIE11とでは一切違いがないと、Microsoftが発表したという情報がネット上で見つかります。以前は、OSの違いによってバージョンが異なり、古いOSの端末を保持する必要があった事例もありますが、この情報がが正しければ、ウェブ制作視点でWindows8/8.1からWindows10にアップデートするデメリットはなさそうです。
一方、Windows7について同情報は得られませんでした。検証不足ですが、IE11のバージョンが異なり、挙動が変わる可能性が否定できません。

XPモードは捨てがたい

Windows7で利用できる、Windows内にWindows XPを起動させる機能「XPモード」は利用できなくなります。
XPモードはウェブ制作の視点からはとても便利な機能であり、本来は不可能な「1台のPCに複数のIEを共存」がネイティブに実現できます。
IE11にあるシミュレータではIE10以下のCSS・Javascriptを完全には再現できません。例えばIE10のフレキシブルボックスはCSS3に順守しない独自の実装ですが、これはIE11のシミュレータではテストできません。また、Javascriptも出来ることならIE11シミュレータではなく実際のIE10・IE9でテストが行いたいところです。この点でXPモードは重宝しますが、Windows10にアップデートすれば失われるので、注意が必要です。

Thinkpad Bluetooth ワイヤレス・トラックポイント・キーボード

個人的なアップデートの最大ポイントは「Thinkpad Bluetooth ワイヤレス・トラックポイント・キーボード」のスクロールが正常に行えるかどうかです。
この保証がないので、ネットで情報収集をしながらギリギリまで決断を保留してきました。

アップデートした結果は表のように、Windows8.1と変わらない結果となりました。
特に重要なエクスプローラーとブラウザ系、メインで使用しているメールソフトのThunderbirdが動作したので、業務に支障が出ず安心しています。
はじめて利用したEdgeは正常にスクロールしませんでした。この環境でEdgeをメインブラウザとして利用するのは厳しいです。

スクロール可否
Windows8.1Windows10
エクスプローラー
IE11
Chrome
Firefox
Thunderbird
(メールソフト)
Adobe Fireworks××
Edge--×

変更点や気になるところ

スタートボタンの挙動変更について

Windows8/8.1では、Windows7からの最大の変更点として、スタートボタンを押した際に画面いっぱいにプログラムなどが表示されます。
これが不評のため、Windows7以前のスタートボタンに戻りました。スタートボタンを押すと、画面いっぱいではなく小窓が表示されます。プログラムが四角形のボタン風に表示されるのはWindows8/8.1系を踏襲しています。

「キーボードのウィンドウズボタン押下」→「プログラム名でタイプして検索」→「Enterで起動」という操作を良く使用します。この際、画面いっぱいではなく小窓になったため、画面上で変化している部分が限られ、「チカチカ感」が減りました。
一方、四角形で表示されるボタンには、デフォルトで画像のスライドショーやゲーム、アプリなどが表示され邪魔です。すぐに削除しましたが、消し方がわからない人に対して不親切と言わざるを得ません。スマホやタブレットがこれだけ普及した時代に、一体どれほどの人がWindowsのカードゲームに

強制アップデートについて

Windows10で最も悪評の高い強制アップデートですが、1度だけ「準備しています」のようなメッセージが表示されたブルースクリーンを経験しました。パーセント表示がされないので、進行の具合がわからず、実行中なのかフリーズしたのかが判断できないのが問題です。
夜にPCをシャットダウンした後、やり残したことを思い出して起動させた際に出会ったので、システム側がアップデートを夜間に行うなど時間の工夫をしていることは伺えます。
「PCを使いたいのに使えない」という深刻な状況はまだ経験していないので、あまり否定的な意見は持っていません。
エラーと進行度合いが明記されないブルースクリーンは、強制アップデートの可能性を疑って、シャットダウンの決断の前に1時間ぐらいは待った方が良いように思います。

外観の変化について

システムフォントが変更されるらしく、見た目が洗練されるものの、人によっては見づらいと思われます。
また、エクスプローラーの外観が変わり、タップ対応のためか隙間が広がったように思います。洗練された印象があるものの、一覧性が若干低下しているのは問題です。

Xamppなどその他のプログラムや周辺機器について

開発用のXamppや愛用しているWinSCP、Putty、Bunbackup、Office2010などのプログラムはことごとく問題なく動作しています。
周辺機器は、USBメモリーや外付けHDDなど問題なく動作しています。これまでプログラム・ドライバー系が動作しなくなる現象には直面していません。

ブルースクリーン

これまで次の3つのエラーを経験しています。

  • Bad_Pool_Header
    ドライバーの互換性を起因とする問題か?
  • Kernel_Security_Check_Error
    不明
  • Memory_Management
    メモリーの破損?

使用しているVAIO TAP 21は、HDDをSSDに換装したためか、Windows8.1の時からブルースクリーンがたまに発生していました。
標準設定されている「簡易的なシャットダウン」から「完全なシャットダウン」に変更するブルースクリーン対策をネットで見つけ、実行したところ解決していました。
Windows10にアップデートしたことで、起動速度が半減し爆速になったのですが、これは「簡易的なシャットダウン」に戻ったのが理由と思われ、これによりブルースクリーンが復活してしまったと思われます。
以上から、Windows10でも「完全なシャットダウン」に切り替えて、ブルースクリーン対策を実施しています。

Windows10で「完全なシャットダウン」を行うためには、次の方法でシャットダウン用ショートカットを作成するのが簡単です。

  • デスクトップで「新規作成」→「ショートカット」
  • 「項目の場所を入力してください」の入力欄に以下を入力
    shutdown /s /t 0
  • ショートカットの名前を適当に付けて完了

ショートカットをクリックすることで完全なシャットダウンが実行されます。

アップデートすべきかどうか

スタートボタンをWindows7以前+Windows8/8.1のいいとこ取りに変えたのが最大の変更点と言えると思います。
それ以外はマイナーチェンジが多く、変化が少なく利便性が損なわれなかったことに安堵しました。
アップデートを戻すことも可能なようなので、既に期限は迫っていますが、1度アップデートを試すことをおすすめします。
プログラムやドライバーが動くかどうかのチェックと、操作性のチェックをして問題がなければ、最新OSを使うデメリットは少ないと思われます。

Windows7のサポート期限

Windows7はサポート期限が2020年ですが、2016年の現在から4年あります。コンピュータにとっての4年はかなり長い年月ですので、サポート期限を気にしてアップデートするのは得策ではありません。

2016年7月30日以降のアップデート

Windows7、Windows8/8.1で過不足なく利用できているのであれば、大差のないアップデートに1~2万円を出すのは得策ではありません。
スティックPCが1万円から買える時代なので、むしろWindows10を搭載した新しいPCを買った方が良いでしょう。

雑感

Macでは時々OSのメジャーアップデートが実施され、無償で利用できます。
インストールしたものが利用できなくなるようなことはなく、インターフェースが洗練されたり、新しい機能追加されたりします。
Windowsのメジャーアップデートも、ようやくこれに似たようなものになったという印象です。

Windows10は最後のWindowsと言われていることから、OSの基本設計の進化はこれで停止するということでしょうか。
10年前のPCと5年前のPCは著しい性能差がありますが、3年前のPCと最新のPCはそれほど差がありません。そういうことなのかも知れません。
ウェブを閲覧し、メールを利用し、ワードで文章を作るような基本操作を快適に行えるスペックは、完全に確保されたということでしょう。
一方で、BTOメーカーが出すゲーム用のPCなど、ハイスペックへのニーズもあるようです。このように、PCの性能は2極化していくのかも知れません。

128bitに設計が変わって、ソフト・ハードともに対応していないものが増え、PCメーカーの商売の都合もあってWindows11をリリースする、というような未来も想像してしまいます。
映像が4K・8K時代になったり、それを編集するためにPCがスペックアップすることは、新しい需要を生みます。多くのメーカーはそれを望んでいるでしょう。
例えその進化が「過剰」で時に「無駄」でも、ワクワク感を生むのであれば個人的に歓迎したいです。

2016/7/9